インビザライン治療について

口腔内スキャナーiTeroについて

インビザライン専用の3D口腔内スキャナー

歯の治療において被せ物や詰め物、また歯列矯正治療や失った歯の補綴治療などでは、歯型を取り、その型に元にして治療をおこなうのですが、これまでの歯型取りは、印象材であるアルジネートやシリコンといった材料を使用して歯型を取っていました。しかし数分間の間、口腔内の違和感を感じながらの歯型取りは、場合によっては嘔吐反射が起きてしまうこともあり、患者さんにとってはとても不快な思いをしながらの作業でした。

しかし、2011年頃より、ヨーロッパやアメリカなどの歯科先進国で矯正治療のための3D光学スキャナーの導入が開始されたことで、歯型取りの工程が大きく変わりました。特にインビザラインは歯の形と同様のアライナー(マウスピース)の作製が必要となるため、治療を成功させるためには緻密で精密な歯型のデータを取ることが重要でした。しかし従来の印象材を使用しての歯型取りでは、印象材が微妙に収縮することによって変形を起こしたり、石膏硬化時の膨張による変形などの悩みもあったのですが、口腔内スキャナ―によって3D光学スキャニングした歯型をデータ化することで、より精密なアライナーを作製することが可能になりました。歯科医療において3D光学スキャナーはどのような役割を担っているのでしょうか。

特徴

  • 最新のiTero2を導入
  • 快適さの向上
  • 治療精度の向上
  • 時間が短縮できる

iTeroとは

iTeroはインビザラインの製造元である、アライン・テクノロジー社の口腔内スキャナーの製品名です。iTeroが導入される前までは、インビザラインを作製する際、印象材を使用して歯型取りをおこない、この歯型の模型をアメリカのアライン・テクノロジー社の製造工場へ送ってアライナーを作製していました。製造工場では送られてきた歯型をスキャニングしてデジタル化し、このデータを基に3Dの歯型を再度作製してアライナーを作製していました。しかしiTeroの導入によって、口腔内スキャニングしたデジタルデータを、パソコンを使ってデータで製造工場へ送ることが可能になったため、歯型の輸送のための時間や費用が削減されるだけではなく、口腔内を直接光学スキャニングすることでより製造の精度を高めることが可能になりました。

口腔内スキャナーは他にもありますが、iTeroの機能として、「アウトカムシミュレーター」があります。この機能は、検査時などの早い段階で矯正治療後の予想される歯並びをシミュレーションを作り、患者さんと一緒に確認することができるというものです。インビザラインには、「クリンチェック」というソフトを利用することで矯正治療後の歯並びをシミュレーションすることができるのですが、エンジニアとのやり取りがあるため、データの作成までには1週間ほどかかってしまうため、iTeroの機能であるアウトカムシミュレーターは患者さんにとっても、便利な機能といえます。

iTeroの特徴

歯形取りの精密性

iTeroは歯型取りを口腔内スキャンし、そのデジタルデータをパソコンで送るため、印象材を使用して採得した歯型と比べると、より精密な歯型をとることができるため、より正確なアライナーを作製することが可能です。

快適で安全性が高い

印象材を使用しないため、印象材が喉に流れ込んで誤嚥してしまうという心配もなく、人によっては口の中に刺激が加わると起こってしまう、吐き気などの嘔吐反射も起きにくいです。また印象材が固まるまでの間、静止する必要もありませんし、口が大きく開けにくい方でも比較的楽に歯型を取ることが可能です。

口腔内スキャンは放射線を使用していませんので、被爆の心配もないためご安心ください。

模型の長期保存が可能

矯正治療において、歯列情報が詰まった歯型の模型は重要な資料ですが、印象材を使用した模型には破損してしまう危険があったり、また保管するスペースが必要になるといった欠点があります。模型を丁寧に扱っていたとしても、形があるものですのでいずれは壊れてしまいます。また、患者さん一人一人に対して模型を作製するため、保管するためのスペースも必要になってしまいます。これが年を重ねると保管するためのスペースが足りなくなることもあります。しかし、デジタルデータの模型であれば模型が壊れることはありませんし、複製も簡単に作製できます。さらにスペースを必要とすることもありませんし、パソコンの検索一つですぐに模型も見つけ出すことが可能になります。

当院では、従来のiTeroに加えて国内最速でiTero2を導入しております。iTero2の導入により、高解像度の画像データを高速処理することができ、短時間のスキャンが可能になるため、歯型の精度がより高まり、矯正効果の上昇に期待ができます。